≡ 目次
介護保険制度の基本構造
介護保険の財源と被保険者:
介護保険は40歳以上の国民全員が被保険者となる社会保険です。給付費の財源は保険料(約50%)と公費(国・都道府県・市区町村、約50%)で構成されます。
介護保険は40歳以上の国民全員が被保険者となる社会保険です。給付費の財源は保険料(約50%)と公費(国・都道府県・市区町村、約50%)で構成されます。
| 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
|---|---|---|
| 対象 | 65歳以上 | 40〜64歳 |
| 保険料 | 年金天引き or 直接納付 | 医療保険と合わせて徴収 |
| 受給要件 | 要介護・要支援認定(原因不問) | 特定疾病(16疾患)が原因の場合のみ |
| 自己負担 | 1〜3割(所得による) | 1割 |
第2号被保険者の特定疾病(16疾患):
がん(末期)・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・後縦靱帯骨化症・骨折を伴う骨粗鬆症・初老期認知症・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病・脊髄小脳変性症・脊柱管狭窄症・早老症・多系統萎縮症・糖尿病性神経障害・脳血管疾患・閉塞性動脈硬化症
がん(末期)・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・後縦靱帯骨化症・骨折を伴う骨粗鬆症・初老期認知症・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病・脊髄小脳変性症・脊柱管狭窄症・早老症・多系統萎縮症・糖尿病性神経障害・脳血管疾患・閉塞性動脈硬化症
申請から認定までの全プロセス
1
MSW / 退院支援NS
申請(市区町村窓口・地域包括支援センター)
- 本人・家族・ケアマネジャー・MSWが代行申請できる
- 入院中でも申請可能。申請日にさかのぼってサービスが使えるため、早めの申請が原則
- 申請書には連絡先・主治医情報・被保険者番号等を記載
- 申請後、市区町村から主治医へ意見書の作成依頼が送られる
2
認定調査員
訪問調査(74項目)
- 市区町村の職員または委託を受けた調査員が訪問
- 本人・家族への聞き取り+動作確認
- 入院中の場合は病院を訪問。家族の同席が望ましい
- 調査票に基づき5分野74項目を記録。特記事項も重要
3
主治医
主治医意見書の作成
- 市区町村から主治医に直接依頼が届く
- 傷病名・症状・予後・認知症の程度・医療処置の必要性などを記載
- 審査会での判断に大きく影響する。退院支援担当者が主治医に内容の重要性を伝えることも大切
4
市区町村(コンピュータ処理)
一次判定
- 74項目の調査データをもとにコンピュータで要介護度を自動算出
- 介護に要する時間(推計)を基準に判定される
- 一次判定は「目安」であり、最終決定は審査会(二次判定)で行われる
5
介護認定審査会
二次判定(最終決定)
- 医師・保健師・福祉職等の専門家5名程度で構成
- 一次判定結果+主治医意見書+調査票の特記事項を総合して判定
- 一次判定より上下に変更されることがある(特に認知症・精神疾患・医療処置は上方修正されやすい)
- 有効期間も審査会が決定(原則6か月、最長48か月)
6
市区町村
認定結果の通知(申請から原則30日以内)
- 要支援1・2 / 要介護1〜5 / 非該当 のいずれかで通知
- 結果通知書・介護保険被保険者証が郵送される
- 入院中の場合、結果が届いたら病院(担当者)に連絡してもらうよう家族に伝えておく
7
MSW / ケアマネジャー
ケアマネジャー選定・ケアプラン作成・サービス開始
- 要介護1〜5:居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当
- 要支援1〜2:地域包括支援センターが担当(または委託)
- サービスは申請日にさかのぼって利用可能
- 退院前にケアマネジャーが決まっていると、退院日からサービスを開始できる
訪問調査の構造と各フェーズの役割
74項目の構成(5分野+医療):
① 身体機能・起居動作(12項目):麻痺・拘縮・起き上がり・座位・立位・歩行・洗身・爪切り・視力・聴力 など
② 生活機能(12項目):移乗・移動・嚥下・食事・排尿・排便・口腔清潔・洗顔・整髪・更衣・外出頻度 など
③ 認知機能(9項目):意思伝達・日課理解・生年月日・短期記憶・自分の名前・季節・場所・徘徊 など
④ 精神・行動障害(14項目):物盗られ妄想・昼夜逆転・大声・介護抵抗・不潔行為・異食・火の不始末 など
⑤ 社会生活への適応(8項目):服薬管理・金銭管理・意思決定・買い物・調理・電話・交通機関 など
+ 過去14日間の医療(16項目):点滴・透析・酸素・吸引・経管栄養・ストーマ・カテーテル・じょくそう など
① 身体機能・起居動作(12項目):麻痺・拘縮・起き上がり・座位・立位・歩行・洗身・爪切り・視力・聴力 など
② 生活機能(12項目):移乗・移動・嚥下・食事・排尿・排便・口腔清潔・洗顔・整髪・更衣・外出頻度 など
③ 認知機能(9項目):意思伝達・日課理解・生年月日・短期記憶・自分の名前・季節・場所・徘徊 など
④ 精神・行動障害(14項目):物盗られ妄想・昼夜逆転・大声・介護抵抗・不潔行為・異食・火の不始末 など
⑤ 社会生活への適応(8項目):服薬管理・金銭管理・意思決定・買い物・調理・電話・交通機関 など
+ 過去14日間の医療(16項目):点滴・透析・酸素・吸引・経管栄養・ストーマ・カテーテル・じょくそう など
💡 「能力」と「実行状況」を分けて確認します
調査票では「できる能力があるか(能力)」と「実際に行っているか(実行状況)」の両面を記録します。「能力はあるが家族が全介助している」場合も、介護の必要な状態として記録されます。
特記事項の重要性:調査票の選択肢だけでは表しきれない状態(変動・環境依存・特殊な事情)は、調査員が「特記事項」として文章で記録します。この特記事項は審査会でも参照され、判定に影響します。
調査票では「できる能力があるか(能力)」と「実際に行っているか(実行状況)」の両面を記録します。「能力はあるが家族が全介助している」場合も、介護の必要な状態として記録されます。
特記事項の重要性:調査票の選択肢だけでは表しきれない状態(変動・環境依存・特殊な事情)は、調査員が「特記事項」として文章で記録します。この特記事項は審査会でも参照され、判定に影響します。
⚠️ 入院中調査のギャップに注意
病院環境(調整されたベッド高・整備された手すり・組織的な介助体制)は、患者のADLを実態より高く見せる傾向があります。調査員は「退院後の在宅生活」を想定して判定するため、病棟NS・退院支援担当者からの在宅状況に関する情報提供が正確な判定につながります。
病院環境(調整されたベッド高・整備された手すり・組織的な介助体制)は、患者のADLを実態より高く見せる傾向があります。調査員は「退院後の在宅生活」を想定して判定するため、病棟NS・退院支援担当者からの在宅状況に関する情報提供が正確な判定につながります。
主治医意見書のポイント
主治医意見書に記載される主な項目:
・傷病名・発症時期・経過
・症状の安定性・今後の見通し(予後)
・認知症の有無・程度・原因疾患
・精神・行動障害の有無
・日常生活の自立度(障害高齢者・認知症高齢者の日常生活自立度)
・医療処置の必要性(過去14日間+今後の見通し)
・サービス利用の際の医学的観点からの留意事項
・感染症の有無
・傷病名・発症時期・経過
・症状の安定性・今後の見通し(予後)
・認知症の有無・程度・原因疾患
・精神・行動障害の有無
・日常生活の自立度(障害高齢者・認知症高齢者の日常生活自立度)
・医療処置の必要性(過去14日間+今後の見通し)
・サービス利用の際の医学的観点からの留意事項
・感染症の有無
💡 退院支援担当者が主治医に伝えておくとよいこと
主治医意見書の内容は審査会での判定に直接影響します。特に以下の点が適切に記載されているかどうかが重要です。
✅ 認知症の程度(HDS-RやMMSEのスコア、日常生活自立度の段階)
✅ 在宅での医療処置の必要性(訪問看護が必要な根拠になる)
✅ 状態の変動性(良い日・悪い日がある場合)
✅ 精神・行動障害の実態(問題行動があっても意見書に記載がないと評価されない)
「意見書に書かれていないことは審査会では評価されない」という認識を持ち、必要に応じて担当医に情報を提供することも退院支援担当者の役割です。
主治医意見書の内容は審査会での判定に直接影響します。特に以下の点が適切に記載されているかどうかが重要です。
✅ 認知症の程度(HDS-RやMMSEのスコア、日常生活自立度の段階)
✅ 在宅での医療処置の必要性(訪問看護が必要な根拠になる)
✅ 状態の変動性(良い日・悪い日がある場合)
✅ 精神・行動障害の実態(問題行動があっても意見書に記載がないと評価されない)
「意見書に書かれていないことは審査会では評価されない」という認識を持ち、必要に応じて担当医に情報を提供することも退院支援担当者の役割です。
一次判定・審査会(二次判定)の仕組み
一次判定:
74項目の調査結果をもとにコンピュータが「要介護認定等基準時間」を推計し、要介護度の目安を算出します。基準時間は1日あたりの介護に要する時間(分)として表されます。
74項目の調査結果をもとにコンピュータが「要介護認定等基準時間」を推計し、要介護度の目安を算出します。基準時間は1日あたりの介護に要する時間(分)として表されます。
| 区分 | 基準時間の目安 |
|---|---|
| 要支援1 | 25分以上32分未満 |
| 要支援2・要介護1 | 32分以上50分未満(状態により振り分け) |
| 要介護2 | 50分以上70分未満 |
| 要介護3 | 70分以上90分未満 |
| 要介護4 | 90分以上110分未満 |
| 要介護5 | 110分以上 |
二次判定(介護認定審査会):
医師・保健師・福祉職等の専門家による合議体が、一次判定結果・主治医意見書・特記事項を総合して最終判定を行います。
一次判定から変更されやすいケース:
✅ 認知症・精神疾患による介護負担が大きい場合(上方修正)
✅ 医療処置が多く在宅での管理が複雑な場合(上方修正)
✅ 特記事項に具体的な状態が詳細に記録されている場合
有効期間の設定:原則6か月(新規)。更新認定は原則12か月。状態が安定していると判断された場合は最長48か月まで設定される場合があります。
医師・保健師・福祉職等の専門家による合議体が、一次判定結果・主治医意見書・特記事項を総合して最終判定を行います。
一次判定から変更されやすいケース:
✅ 認知症・精神疾患による介護負担が大きい場合(上方修正)
✅ 医療処置が多く在宅での管理が複雑な場合(上方修正)
✅ 特記事項に具体的な状態が詳細に記録されている場合
有効期間の設定:原則6か月(新規)。更新認定は原則12か月。状態が安定していると判断された場合は最長48か月まで設定される場合があります。
暫定ケアプランの活用
暫定ケアプランとは:
介護保険の申請後、認定結果が出る前(通常1か月程度)の間も、サービスを先行して利用できる仕組みです。ケアマネジャーが認定結果を見越してプランを立て、サービス事業者と契約してサービスを開始します。
リスクと注意点:
・認定結果が「非該当」だった場合、サービス利用費は全額自己負担になる可能性がある
・想定より低い介護度になった場合、支給限度額を超えた部分は全額自己負担
・事前に患者・家族に「暫定利用のリスク」を説明しておくことが重要
退院直後の利用で特に重要:
退院当日からヘルパー・訪問看護を使いたい場合は、認定前でも暫定ケアプランで対応できます。MSWが早めにケアマネジャーと連携を取ることが鍵です。
介護保険の申請後、認定結果が出る前(通常1か月程度)の間も、サービスを先行して利用できる仕組みです。ケアマネジャーが認定結果を見越してプランを立て、サービス事業者と契約してサービスを開始します。
リスクと注意点:
・認定結果が「非該当」だった場合、サービス利用費は全額自己負担になる可能性がある
・想定より低い介護度になった場合、支給限度額を超えた部分は全額自己負担
・事前に患者・家族に「暫定利用のリスク」を説明しておくことが重要
退院直後の利用で特に重要:
退院当日からヘルパー・訪問看護を使いたい場合は、認定前でも暫定ケアプランで対応できます。MSWが早めにケアマネジャーと連携を取ることが鍵です。
区分変更申請・不服申請
区分変更申請:
認定有効期間中に状態が大きく変化した場合(入院・手術・病状悪化など)、認定期間中でも新たに区分変更を申請できます。変更申請後は再度訪問調査・審査会を経て新たな要介護度が決定されます。
区分変更を検討すべきタイミング:
✅ 入院や手術でADLが大きく低下した場合
✅ 認知症が進行して介護量が増加した場合
✅ 現在の認定区分では必要なサービス量が支給限度額内に収まらない場合
認定有効期間中に状態が大きく変化した場合(入院・手術・病状悪化など)、認定期間中でも新たに区分変更を申請できます。変更申請後は再度訪問調査・審査会を経て新たな要介護度が決定されます。
区分変更を検討すべきタイミング:
✅ 入院や手術でADLが大きく低下した場合
✅ 認知症が進行して介護量が増加した場合
✅ 現在の認定区分では必要なサービス量が支給限度額内に収まらない場合
不服申請(審査請求):
認定結果に納得できない場合、結果通知を受けた翌日から3か月以内に都道府県の介護保険審査会に審査請求を申し立てることができます。
審査請求と区分変更申請の使い分け:
・審査請求:判定プロセス・手続き自体に問題があったと考える場合
・区分変更申請:判定後に状態が変化した、または判定結果と実態が大きく異なると感じる場合(こちらが現実的に多い)
患者・家族から「結果に納得できない」という相談を受けた際は、どちらの方法が適切かを一緒に検討し、ケアマネジャーや地域包括支援センターとも連携して対応してください。
認定結果に納得できない場合、結果通知を受けた翌日から3か月以内に都道府県の介護保険審査会に審査請求を申し立てることができます。
審査請求と区分変更申請の使い分け:
・審査請求:判定プロセス・手続き自体に問題があったと考える場合
・区分変更申請:判定後に状態が変化した、または判定結果と実態が大きく異なると感じる場合(こちらが現実的に多い)
患者・家族から「結果に納得できない」という相談を受けた際は、どちらの方法が適切かを一緒に検討し、ケアマネジャーや地域包括支援センターとも連携して対応してください。
専門職が押さえるタイミングと連携ポイント
| タイミング | MSW・退院支援NSの役割 |
|---|---|
| 入院直後〜7日以内 | 退院困難スクリーニング・介護保険未申請者への申請勧奨・早期申請支援 |
| 申請後〜調査前 | 家族が同席できる調査日時の調整・患者・家族への調査の説明・病棟NSへの情報共有依頼 |
| 調査当日 | 調査員への在宅状況・ADL・医療処置の情報提供(受け持ちNSまたは退院支援担当者) |
| 調査〜認定結果まで | 暫定ケアプランが必要な場合はケアマネジャーと連携・サービスの先行調整・家族への結果連絡依頼 |
| 認定結果後 | 結果の共有・ケアマネジャー選定支援・退院前カンファレンスでのサービス確認 |
| 退院後(状態変化時) | 区分変更申請の検討・ケアマネジャーへの情報提供・必要に応じて不服申請の案内 |
【参考】
・介護保険法第27条(要介護認定)・第29条(要支援認定)
・厚生労働省「要介護認定 認定調査員テキスト」
・介護保険の給付費:保険料(第1号・第2号)約50% + 公費(国・都道府県・市区町村)約50%
※ 本資料は参考情報です。各市区町村の運用・一次資料を必ずご確認ください。
・介護保険法第27条(要介護認定)・第29条(要支援認定)
・厚生労働省「要介護認定 認定調査員テキスト」
・介護保険の給付費:保険料(第1号・第2号)約50% + 公費(国・都道府県・市区町村)約50%
※ 本資料は参考情報です。各市区町村の運用・一次資料を必ずご確認ください。