患者・家族向け 在宅医療

ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を使った生活
退院後のケアと日常生活のコツ

この記事でわかること
  • ストーマとは何か・種類の違い
  • パウチ(装具)交換の基本的な流れ
  • においや漏れへの対処法
  • 入浴・外出・仕事復帰のポイント
  • 費用と使える社会制度(身体障害者手帳など)

ストーマとは

ストーマとは、大腸がん・膀胱がん・炎症性腸疾患などの手術後に、 お腹の表面に作られた排泄口のことです。 腸の一部をお腹の外に出し、そこから便や尿を排泄します。

種類排泄物主な原因疾患
コロストミー(人工肛門) 便 大腸がん・直腸がんなど
ウロストミー(人工膀胱) 尿 膀胱がんなど
イレオストミー 便(水様〜泥状) 潰瘍性大腸炎・クローン病など

ストーマは括約筋がないため、自分でコントロールすることができません。 そのため、ストーマ口に「パウチ(装具)」と呼ばれる袋を貼り付けて排泄物を受け取ります。

パウチ(装具)の交換方法

退院前に病院のストーマ外来や皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)から パウチ交換の指導を受けます。退院後も不安なときは遠慮なく相談してください。

1
手を洗い、道具を準備する
新しいパウチ・ハサミ・ゴミ袋・ティッシュ・皮膚保護材(必要に応じて)を用意する。
2
古いパウチをはがす
皮膚を傷めないよう、上から下へゆっくりとはがす。 専用のリムーバー(はがし液)を使うと皮膚への負担が少ない。
3
ストーマ周囲の皮膚を洗う
ぬるま湯と石けんで優しく洗い、よく乾かす。 こすらずに押さえるように拭く。
4
新しいパウチを貼る
ストーマのサイズに合わせてカットしたパウチを、 ストーマの根元から空気を抜くように貼り付ける。 端をしっかり押さえて密着させる。
💡 交換のタイミング
パウチの交換頻度は製品・個人差によりますが、一般的に3〜5日に1回程度が目安です。 かゆみ・漏れ・においが強くなってきたら早めに交換しましょう。 入浴前後に交換すると皮膚の状態も確認しやすくなります。

においや漏れが心配なとき

😟 よくある悩みと対処法

  • においが気になる
    消臭剤入りのパウチを使う・パウチ内に消臭剤を入れる・食事でにおいの原因食品(たまねぎ・ニンニク・卵など)を控える。
  • パウチが漏れる
    ストーマのサイズに合ったパウチを使えているか確認。 皮膚保護材(ペーストや粉など)を使って密着度を高める。 ストーマ外来で相談する。
  • 皮膚がかゆい・赤くなる
    パウチが合っていない・排泄物が皮膚に触れているサインの可能性。 皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)に相談する。
  • ガスが多くてパウチが膨らむ
    フィルター付きパウチを選ぶ。炭酸飲料・豆類・芋類を控える。

入浴・外出・仕事復帰について

「ストーマがあると普通の生活ができない」と心配される方が多いですが、 慣れれば多くのことが以前と同様にできます。

  • 入浴:パウチをつけたまま入浴できます。防水性のパウチであれば問題ありません。交換日に入浴するとスムーズです。
  • 外出・旅行:予備のパウチを多めに持参しましょう。多目的トイレ(オストメイト対応)を事前に確認しておくと安心です。
  • 仕事:デスクワークは退院後比較的早く復帰できる場合があります。重労働・腹圧のかかる仕事は主治医と相談を。
  • 運動:水泳・ゴルフなども徐々に再開できます。腹帯(ストーマベルト)を使うと安心感が増します。

費用と使える社会制度

🏛️ 身体障害者手帳(排泄機能障害)
永続的なストーマの方は身体障害者手帳(4級)の申請ができます。 手帳を取得すると、ストーマ装具(パウチ)の購入費用が 日常生活用具給付制度で補助されます(市区町村から支給)。 申請先は市区町村の障害福祉窓口です。退院前に病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談すると手続きがスムーズです。
制度内容相談窓口
身体障害者手帳 各種福祉サービスの利用・装具費用の補助 市区町村 障害福祉窓口
日常生活用具給付 ストーマ装具の費用補助(自己負担1割程度) 市区町村 障害福祉窓口
医療費控除 ストーマ装具の購入費が確定申告で医療費控除の対象 税務署
🏥 ストーマ外来・相談窓口
退院後も困ったことがあれば、病院のストーマ外来(WOCナース外来)を受診してください。 また、公益社団法人日本オストミー協会では当事者同士の交流・情報提供が行われています。 「同じ経験をした人の話を聞きたい」という方にもおすすめです。
ご注意
パウチの種類・交換方法は個人の状態により異なります。 退院後も定期的にストーマ外来を受診し、専門家に相談しながら管理してください。