患者・家族向け 在宅医療

経管栄養・胃ろうの在宅管理
退院後の注入ケアと家族の関わり方

この記事でわかること
  • 経管栄養(胃ろう・経鼻胃管)とは何か
  • 栄養剤注入の基本的な流れ
  • よくあるトラブルと対処法
  • 口腔ケアの重要性
  • 在宅での管理に必要な支援体制

経管栄養とは

経管栄養とは、口から食べることが難しい方に対して、 チューブを通じて胃や腸に直接栄養を届ける方法です。 脳卒中後の嚥下障害・認知症の進行・がん・神経難病などで使われます。

種類方法特徴
胃ろう(PEG) お腹の皮膚から胃に直接チューブを通す 長期使用向き。経鼻より違和感が少ない。定期的なカテーテル交換が必要。
経鼻胃管 鼻からチューブを通して胃へ届ける 短〜中期向き。チューブが見える。定期的な入れ替えが必要。
腸ろう(腸瘻) 小腸に直接チューブを通す 胃の機能に問題がある方向け。比較的少ない。

栄養剤注入の基本的な流れ

退院前に病院スタッフ(看護師・栄養士)から指導を受けますが、 基本的な流れを確認しておきましょう。

1
体を起こす(上体を30〜45度以上に)
注入中・注入後30分〜1時間は上体を起こした姿勢を保ちます。 寝た姿勢で注入すると逆流・誤嚥のリスクが高まります。
2
チューブの位置・接続を確認する
注入前に胃ろうボタンや接続部が正しい状態か確認します。 経鼻の場合はチューブが抜けていないか長さを確認します。
3
栄養剤を注入する
主治医の指示した量・速度(滴下速度)で注入します。 速すぎると嘔吐・下痢の原因になります。 栄養剤は人肌程度に温めると吸収がよく、お腹への負担も減ります。
4
白湯でフラッシュする
注入後はチューブに白湯を流してすすぎます(詰まり防止)。 量は主治医の指示に従ってください。
5
接続部を外して片付ける
チューブ類は衛生的に管理します。 使い捨て部品は毎回交換し、繰り返し使う部品は洗浄・乾燥させます。

よくあるトラブルと対処法

🆘 トラブル対処ガイド

  • チューブが詰まった
    白湯でゆっくりフラッシュしてみる。改善しない場合は訪問看護師・主治医に連絡。 無理に押し込まないこと。
  • 胃ろうチューブ(カテーテル)が抜けた
    すぐに訪問看護師または主治医に連絡してください。 ろう孔(穴)は数時間で閉じ始めるため、早急な対応が必要です。
  • 注入中・後に嘔吐した
    注入を止めて体を横向きにする(誤嚥防止)。 意識がある場合は背中をさするなど落ち着かせる。 繰り返す場合は主治医に相談。
  • 下痢・お腹が張る
    注入速度が速すぎる・栄養剤が冷たすぎる場合に起きやすい。 速度を落とす・温めるなどを試し、続く場合は主治医に相談。
  • 胃ろう周囲の皮膚が赤い・液が漏れる
    皮膚トラブルのサイン。訪問看護師に連絡して状態を確認してもらう。

口腔ケアがとても大切です

経管栄養の方は口から食べていなくても、口腔ケアは必ず行う必要があります。 口の中に雑菌が増えると誤嚥性肺炎のリスクが高まるためです。

  • 1日2〜3回、スポンジブラシや歯ブラシで口の中を清潔にする
  • 舌・頬の内側・歯茎も忘れずに
  • 口腔内の乾燥が強い場合は口腔保湿剤を使う
  • 歯科医師・歯科衛生士による定期的な口腔管理も検討する
⚠️ 誤嚥性肺炎に注意
嚥下機能が低下している方では、口腔内の細菌が気管に入り込んで肺炎を起こすことがあります。 「発熱」「痰が増えた」「呼吸が苦しそう」などのサインが出たら早めに主治医に連絡してください。

在宅管理に必要な支援体制

✅ 在宅での経管栄養管理チェックリスト

  • 訪問看護師が定期的にチューブの状態・皮膚トラブル・栄養状態を確認している
  • 主治医(かかりつけ医または訪問診療医)が定期的に管理している
  • 栄養剤・消耗品の定期配達の手配ができている
  • 緊急時(チューブ抜去など)の連絡先と手順が家族に共有されている
  • 口腔ケアを毎日実施できている
  • 注入時の体位(上体30〜45度以上)を守れている
💡 家族の負担を減らすために
経管栄養の在宅管理は家族にとって大きな負担になることがあります。 訪問看護師に「できていないことを正直に話す」ことが大切です。 手技の再確認・物品の見直し・注入スケジュールの調整など、 一緒に解決策を考えてもらえます。一人で抱え込まないでください。
ご注意
栄養剤の種類・注入量・速度・回数は必ず主治医の指示に従ってください。 この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療管理を指示するものではありません。