患者・家族向け 在宅ケア

褥瘡(床ずれ)の予防と在宅ケア
家族ができること・専門職に相談すること

この記事でわかること
  • 褥瘡(床ずれ)がなぜできるのか
  • できやすい場所と早期発見のポイント
  • 体位変換・ポジショニングの基本
  • 栄養と皮膚の清潔を保つことの重要性
  • 在宅でできること・訪問看護に相談すること

褥瘡(床ずれ)とは

褥瘡(じょくそう)とは、体の特定の部位が長時間圧迫されることで 血流が滞り、皮膚や組織が傷んでできる傷のことです。 「床ずれ」とも呼ばれ、寝たきりや長時間同じ姿勢でいる方に起きやすいです。

一度できると治りにくく、悪化すると深い傷(潰瘍)になることがあります。 しかし、正しい知識と日々のケアで予防できます。 退院後の在宅生活では、家族の関わりがとても重要です。

できやすい場所を知っておく

褥瘡は骨が突き出た部分(骨突出部)に圧力が集中しやすいため、 次のような場所に特にできやすいです。

⚠️ 褥瘡ができやすい部位
  • 🔴 仙骨部(お尻の中心)——最も多い。仰向け寝で圧迫されやすい。
  • 🔴 かかと——仰向けで足が固定されると圧がかかる。
  • 🟠 肩甲骨・後頭部——仰向け寝で当たる部分。
  • 🟠 大転子(股関節の外側)——横向き寝で圧がかかる。
  • 🟡 耳の後ろ・くるぶし・膝の内側——横向き寝で骨が当たる部分。

入浴や清拭(せいしき)のとき、これらの部位を意識して観察しましょう。 赤み・熱感・腫れ・水疱・皮がむけているなどのサインが出たら早めに訪問看護師に連絡してください。

予防の3本柱

1
体位変換(姿勢を定期的に変える)
同じ姿勢を続けないことが最大の予防策です。 目安は2時間に1回の体位変換ですが、 エアマットレス(圧切替型)を使っている場合は訪問看護師に頻度を確認しましょう。 「横向き・仰向け・もう一方の横向き」をローテーションします。 体を持ち上げて移動する(引きずらない)ことが大切です。
2
ポジショニング(正しい姿勢を保つ)
ただ向きを変えるだけでなく、クッションや枕を使って 骨突出部に圧が集中しないよう分散させます。 横向きのときは30度傾けた姿勢が理想で、 大転子への直接的な圧を避けられます。 かかとはマットレスから浮かせるようにクッションを入れます。
3
栄養と水分・皮膚の清潔
栄養不足(特にタンパク質不足)は皮膚が傷みやすくなります。 食事が十分に取れているか確認しましょう。 排泄後はできるだけ早く皮膚を清潔にし、 保湿剤を使って皮膚の乾燥を防ぐことも重要です。 皮膚が湿った状態(失禁・発汗)が続くと傷みやすくなります。

介護ベッドとマットレスの選び方

種類特徴対象
ウレタンフォームマットレス 体圧を分散。比較的安価。寝返りがある方向け。 自力での寝返りが少しできる方
エアマットレス(静止型) 空気の圧力で体圧を分散。寝心地がよい。 寝返りが難しい方
エアマットレス(圧切替型) 空気の圧が交互に変わり自動で体圧を分散。褥瘡のある方にも。 全介助の方・褥瘡リスクが高い方
💡 介護保険でレンタルできます
エアマットレスは介護保険の福祉用具貸与(要介護2以上)でレンタル可能です。 ケアマネジャーに相談して、本人の状態に合ったマットレスを選んでもらいましょう。 → 福祉用具のレンタルと購入〜介護保険で使えるもの

褥瘡ができてしまったら

在宅で褥瘡を発見した場合、自己判断でケアせず、まず訪問看護師か主治医に連絡してください。 褥瘡の深さ・大きさ・感染の有無によって、必要なケアは大きく変わります。

  • 皮膚の赤みが30分以上消えない → 要注意。看護師に相談。
  • 水疱・皮がむけている → 感染リスクあり。早急に相談。
  • 黄色・黒っぽい組織が見える → 深い褥瘡。すぐに医師・看護師へ。
  • においが強い・膿が出ている → 感染の可能性。緊急性あり。
⚠️ 市販の絆創膏・軟膏を勝手に使わないで
褥瘡に合わない処置をすると悪化することがあります。 必ず訪問看護師・主治医の指示に従った処置材・軟膏を使用してください。

家族が無理をしないために

2時間ごとの体位変換を夜間も続けるのは、家族にとって非常に大きな負担です。 「完璧にやらなければ」と抱え込まず、以下を活用しましょう。

  • 圧切替型エアマットレスを使えば、夜間の体位変換頻度を減らせることがある(訪問看護師に確認)
  • 訪問看護師に定期的な褥瘡観察・処置をお願いする
  • 訪問介護(ヘルパー)に清拭・おむつ交換を依頼する
  • ショートステイを使って家族が休む時間をつくる
ご注意
この記事は一般的な予防・ケアの情報提供を目的としています。 褥瘡が発生した場合の処置は必ず訪問看護師・主治医の指示に従ってください。