🧠 認知症の方が入院したとき
家族が知っておくべきこと
認知症のある方が入院すると、自宅では見られなかった言動が出てきたり、急に状態が悪くなったように感じることがあります。「病院に来てから急におかしくなった」と感じる家族は多いですが、これは認知症の方に特有の入院リスクがあるためです。
事前に知っておくだけで、家族の不安はずいぶん軽くなります。
「せん妄」を知っておきましょう
入院中に認知症の方でよく起こるのが「せん妄(せんもう)」です。急に意識が混乱し、幻覚・興奮・昼夜逆転などが現れる状態で、認知症そのものの症状とは異なります。
⚠️ せん妄はよくあること。「急に悪化した」ではありません
せん妄は、高齢者・認知症のある方が入院したときに非常によく起こります。「病院に来てから急に認知症が進んだ」と心配される家族は多いですが、多くの場合はせん妄であり、原因が取り除かれれば改善することがあります。担当の看護師や医師に伝えて、一緒に対応を考えましょう。
せん妄のサイン
🌙 昼夜逆転・眠れない
夜中に起き上がる、叫ぶ、ベッドから降りようとするなど、夜間に混乱が強くなることが多い
👻 幻覚・幻視
「虫がいる」「知らない人がいる」など、実際にはないものが見える・聞こえると訴える
😡 興奮・落ち着きのなさ
突然怒り出す、ベッドの柵をつかむ、点滴を抜こうとするなど、じっとしていられない
😶 ぼんやり・会話がかみ合わない
呼んでも反応が薄い、話の内容がまとまらない、今日の日付や場所がわからなくなる
せん妄が起きやすい原因
- 慣れない環境(病院のベッド・音・光)への適応困難
- 痛み・発熱・脱水・尿路感染などの身体的ストレス
- 手術・麻酔の影響
- 睡眠不足・昼間の活動量の低下
- 薬の影響(特に睡眠薬・鎮痛薬など)
家族にできること
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顔なじみの家族が声をかける
混乱している方に、知っている顔と声は大きな安心になります。「○○だよ、大丈夫だよ」と穏やかに繰り返してあげてください。 -
時間・場所・状況を優しく伝える
「今は病院にいるよ。○月○日の朝だよ」と、繰り返し教えてあげましょう。責めたり「なんでわからないの」と言わないことが大切です。 -
なじみのものを持参する
自宅で使っていた枕・毛布・写真・好きなものなど、見慣れたものがそばにあると安心感につながります。病院のルールの範囲内で持ち込んでみましょう。 -
昼間は起きていられるよう働きかける
昼夜逆転を防ぐために、日中はできるだけカーテンを開けて明るくし、声をかけて目を覚ましてもらうことが助けになります。 -
ふだんの様子を看護師に伝える
「普段はこんな人です」という情報が、医療スタッフにとって非常に助かります。下の「伝えておきたいこと」を参考にしてください。 -
家族も無理しない
24時間付き添うことはできません。看護師に相談しながら、できる範囲で関わりましょう。家族が疲れてしまっては元も子もありません。
入院時に看護師・スタッフに伝えておきたいこと
認知症のある方の入院では、ふだんの生活の様子を医療スタッフに伝えることがとても重要です。カルテや医師の情報だけでは把握できないことを、家族が補ってあげましょう。
📝 伝えておくと助かる情報
- 認知症の診断名・受診中の病院・かかりつけ医
- ふだんの生活のリズム(起床・就寝・食事・排泄の時間帯)
- コミュニケーションの取り方(聞こえやすい側・話しやすい言葉かけ)
- 好きなこと・嫌いなこと・落ち着く方法
- 不安になりやすい場面・パニックになるきっかけ
- 服薬中の薬(認知症薬・精神科の薬を含む)
- これまでのせん妄・興奮・転倒の経験
- 家族の連絡先と面会できる時間帯
「身体拘束」について知っておきましょう
点滴を抜く・ベッドから降りようとするなど、安全が確保できない場合に、やむを得ず身体的な拘束が行われることがあります。家族にとってはとてもつらい場面です。
💡 拘束について気になることは遠慮なく聞いてください
身体拘束は、原則として本人・家族への説明と同意のもとに行われます。「なぜ必要なのか」「いつまで行うのか」「ほかに方法はないか」を看護師・担当医に聞くことは、家族の大切な権利です。疑問を感じたら遠慮せず声をかけてください。
入院中から退院後を見据えて
認知症のある方は、入院によって身体機能・認知機能が低下しやすく、退院時には入院前より状態が変化していることがあります。退院後の生活をどう整えるか、入院中から準備を始めることが大切です。
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MSW・退院支援担当者に相談する
退院後の介護サービス・施設・住環境の調整は、医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院支援担当者に相談することができます。「退院後が不安」と伝えるだけで動いてもらえます。 -
介護保険の申請・区分変更を検討する
入院によって状態が変化した場合、介護度の見直し(区分変更申請)が必要になることがあります。まだ認定を受けていない方は、入院中でも申請できます。 -
自宅に戻るための準備を早めに
退院後に自宅で暮らすためには、手すりの設置・段差の解消・ヘルパーやデイサービスの手配が必要になることがあります。退院前カンファレンスを活用しましょう。
📌 この記事のまとめ
- 認知症の方の入院では「せん妄」が起きやすい。急に悪化したように見えても、多くは一時的なもの
- せん妄のサインは昼夜逆転・幻覚・興奮・ぼんやりなど。看護師に伝えて一緒に対応を
- 家族は顔なじみの声かけ・なじみのものの持参・ふだんの様子を伝えることで大きく助けになれる
- 身体拘束について疑問があれば、遠慮せず医療スタッフに聞く
- 入院中から退院後の生活を見据えて、MSW・退院支援担当者に早めに相談する